うなり [理系的音楽道]

「理系的音楽道」の4回目です。うなりは理系の大学学部、特に工学系ではほとんど習うのではないでしょうか。そのうなり(beat)の音を実際に聞きたくなり、前に作ったプログラム[1]で試して見ましたので報告します。

うなりとは、2つの近い周波数の振動があったとき、それよりかなりゆっくりした周期でブーンブーンと振動する現象です。昔はバスの外板などが、よくうなっていました。あれは外板が持っているもっとも振動しやすい周波数(固有周波数)とエンジンの周波数が近いときに生じていたのでしょう。いまのバスではできが良いのでほとんど経験できません。この例では共振と区別しにくいのでもっと良い例があると良いのですが思いつきません。教えてください。うなりの典型的な波形は
unari1.jpg
のようなものです。この図を見れば短い周期の振動がもっと大きな周期の振動に乗っているように見えます。これがうなりです。

同じことが、音の場合も起こりますが、音は周波数が大きいので、上図のようにわかりやすくはありません。まず、
sound_beat_eq1.jpg
の音波を[1]のプログラムで発生させます。A(ラ)の音ですが、わずか2Hz違う440Hzと442Hzの音波が同時に出ます。ではさっそくその音を聞いてみましょう。


いかがですか。まるで調律くるったピアノのようです。この場合2つの弦は2Hzの違いですが、実際の調律では0.1Hz程度の違いに調整するとか。詳しくは知りません。さて、この音を波形でみると
sound_beat.jpg
となり、うなりの周期と比べて440Hzは速いので塗りつぶしになってしまします。しかし、良くうなっている様子がグラフからもわかります。次に高校で習う三角関数の公式を使って、2つの近い周波数の波形の重ね合わせの式を変形してみます。
sound_beat_eq2.jpg
このようにその波形は2つの周波数の中間周波数の振動が、2つの周波数の違いの半分の周波数でうなっていることが式の上でもはっきりわかります。すなわちA(t)という振幅を表す関数が、Δfの周期で変化します(うなります)。

PS:このプログラムのお遊びはこのくらいで次のフェーズに行かなければ・・・

[関連情報]
[1] 周波数当てクイズ, 10/02/24


2010-03-13 00:00  nice!(6)  コメント(13)  トラックバック(0) 
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コメント 13

Caelum

ぶにょんぶにょんした音が聞こえますね('w`)
ある種のうなりは、ヒーリング効果があるとかナントカで
何年か前に流行りましたネ
by Caelum (2010-03-13 01:19) 

yablinsky

Caelumさん、コメントありがとうございます。はやったのですか。知りませんでした。正弦波ではヒーリング効果は期待できません。気持ちとしてはこのプログラムを発展させていくつもりなので、いつかはヒーリング効果のある音が出せるとよいのですが。
by yablinsky (2010-03-13 07:26) 

nyankome

和積の公式ですね。
なるほどです。
by nyankome (2010-03-13 09:23) 

Cecilia

う、式を見ると頭が・・・という私にも楽しめる話題でした。
yablinskyさんやnyankomeさんに数学の家庭教師をお願いしたい私です。(笑)
高校生の時にお知り合いになっておけばよかった・・・。
by Cecilia (2010-03-13 12:00) 

yablinsky

nyankomeさん、コメントありがとうございます。和積の公式っていうのでしたか。式は頭に入っているのですが、名前は蒸発しておりました。通常、積分をするとき積から和にするために使いますが、これは逆方向の変換も役に立つ1つの例となりそうです。

by yablinsky (2010-03-13 19:30) 

yablinsky

Ceciliaさん、コメントありがとうございます。楽しんでいただき何よりです。仕事が一段落したので、また、別のプログラムを開発したいと考えております。お楽しみに・・・
by yablinsky (2010-03-13 19:33) 

yablinsky

matchaさん、いつもniceありがとうございます。
by yablinsky (2010-03-14 00:07) 

Enrique

うなりは,チューニングのキーワードですね。わずかの周波数差をはっきり聞かせてくれます。音さえ伸びていれば僅少な差ほどはっきり聞き取ることが出来ますね。大きな差は音のにごりになります。
ご提示のものは結果的にはAM変調と同じしくみです。最後の式のA(t)は1Hzですが,いわば過変調なので,+-にひっくり返っていて2倍の周波数で2Hz。見かけ上二つの周波数差ということになっています。うなり周期は0.5sですね。
減衰率を今の1/10くらいで音がもう少しのびると,うなった音はさらに分かりやすくなると思います。
お寺の鐘は本来の対称性をわずかにずらして振動モードの縮退を解いてわずかにずれた振動モードで鳴らせ,音のうなりを積極的に活用しているようです。西洋のベルはカランカランと減衰が早くうなりは聞きませんね。
by Enrique (2010-03-14 12:34) 

optimist

プログラムのお遊びと仰いますが、面白いです。
また、色々と教えていただけると嬉しいかも♪
この手の音に関する知識が欠けているので、周波数あてクイズなども、とっても面白かったんです。
あっでも、ブログの趣旨からは、はずれるのかな?
by optimist (2010-03-14 16:41) 

ワカタカタカコ

遊び。。。。。スゴィ。。
by ワカタカタカコ (2010-03-14 18:05) 

yablinsky

Enriqueさん、コメントありがとうございます。Enriqueさんにも前からコメントいただいていたうなりについて書いてみました。そう言えばお寺の鐘はうなっていますね。鐘って対称性をずらしているのですか。初めて知りました。AM変調の件はすっかり忘れておりました。そう言えば同じような式で説明されていたように記憶しております。次回の理系的音楽道では新たなプログラム登場の予定です。
by yablinsky (2010-03-14 19:36) 

yablinsky

optimistさん、コメントありがとうございます。いえ、私、音は素人です。うなりは大学でならったことがありますので、知っていましたので、実際に音に適用するとどのように聞こえるのか試してみました。だから、解説というより、自分が聞いて見たかっただけということです。感想としては完全に振幅がゼロになっても人間はゼロになっていることは認識できないのがおもしろいところです。
by yablinsky (2010-03-14 19:41) 

yablinsky

ワカタカタカコさん、いつもコメントありがとうございます。このプログラムで3回も記事を書いていますからね。最終的にプログラムがどのような方向に行くかわかりませんが、近々、次のプログラムも登場予定です。
by yablinsky (2010-03-14 19:44) 

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