テヌートの怪 [音楽の基礎理論]

 テヌート(- or tenuto or ten.)がわかりません。できれば教えて頂きたいのです。ただし、ピアノ以外の楽器までは想定できていません。このような書き込みは専用の掲示板にすれば良いのかも知れませんが、自分のブログに書き込んでみます。

 一番はじめに思いつくのは、楽典に何と書いているかということです。そこでいつもの楽典[1]を読むと

「その音の長さを充分に保って」

ということです。計り知れないが、芸術家はこれで納得するのでしょうか。確かにピアノの先生とうちの子ども初号は分かり合っていました。そばにいた私だけが????の状態でした。

 次にネット情報を検索してみました。楽典のコピーと思われるものが大半ですが、深く考えている記事もありました。それらの記事によれば、テヌートは感覚だと結論しているものや、国や作曲家や演奏者ごとに解釈が違うと書いているものなどが見つかりました。結局、標準的なテヌートの演奏法はないのでしょうか。

 テヌートの解釈は強調のため少し強めの音を出すという解釈もあるようですが、時間に関するテヌートの解釈の候補を挙げると

1,その音符が受け持つ時間いっぱい音を発生させ、次の音につなぐ。
  (legatoとの違いが不明)
2,その音符の受け持つ時間を超えて、次の音符に重なってつなげる。
  (レガティシモ(legatis.)とどう違うのだろう)
3,その音符の間、テンポを少し小さくする。

と3つほど考えてみました。1が一般的解釈でしょうが、私は3ではないかと考えます。私の考えは間違いでしょうか。3は芸術家的な表現をすれば、「本来の音符の長さを少し超えて伸ばす」となります。

 実は現在進行中のK310プロジェクト[2]のまさに1小節目に何とスタッカートの上にテヌートが付いています。案1や2の解釈ではスタッカートとテヌートが矛盾しあって、意味がわかりません。案3なら、テンポを少し小さくしてスタッカートにすればよく矛盾が生じません。

K310-1-3.JPG
(注:楽譜では-となっているところを上図ではScoreEditorの都合上ten.と書いています)

 芸術と言うものは奥が深いので、このような小さな考察では何も分からないことも知っていますが、テヌートの一端をとらえた感じがします。この記事を読まれた方に是非テヌートについて教えてくださいますようにお願い申し上げます。

 追加情報:(09/01/11)
 本原稿投稿後、いつもいろいろ教えていただいているある方からメゾスタッカート[3]といって、テヌートとスタッカートが組み合わされた演奏記号がることを教えていただきました。その演奏方法はテヌートが音を発する時間をこの音符が受け持つ時間の100%(案1)とし、もしスタッカートが50%なら、メゾスタッカートは75%というものです。通常はテヌートの外側にスタッカートが着いていますが、上記K310の場合はスタッカートの外にテヌートが着いていますので、よりテヌートよりと解釈できるかもしれません。
 なにも難しく考えることもなく、単純に本文中の案1でよいのかもしれません。後は演奏しながら(させながら)考えます。

[1]楽典, 09/12/30
[2]苦手のモーツァルト研究開始, 09/12/29
[3]http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E5%A5%8F%E8%A8%98%E5%8F%B7


2010-01-09 00:05  nice!(7)  コメント(12)  トラックバック(0) 
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コメント 12

Cecilia

大人になるまでテヌートとフェルマータの違いがわかりませんでした。(苦笑)
私はテヌートはその音を良く響かせるような感じで理解していますが、それも少し自信がありません。
この話題、とても興味があります!
niceです!
by Cecilia (2010-01-09 10:49) 

yablinsky

Ceciliaさん、コメントありがとうございます。強弱は少し強めではないかと予想しますが、問題は時間です。 時間に関しては弱いフェルマータなのでしょうか?
by yablinsky (2010-01-09 11:37) 

Cecilia

時間に関しては弱いフェルマータだと思います。
by Cecilia (2010-01-09 11:47) 

yablinsky

Ceciliaさん、教えていただきありがとうございます。大変助かります。K310を弱いフェルマータとして作って見ます。
by yablinsky (2010-01-09 12:02) 

yablinsky

sungenさん、コメントありがとうございます。sungenさんのブログは前に一度訪問したことがあります。バロック音楽では強弱は弱くということでしょうか。ロマン派でも強調したい音をあえて弱くするというのは、演奏技法としてはあるのではと私の少ない経験からもありそうです。ロマン派は通常は音をたっぷりということは強めということですね。時間もたっぷりでしょうか?コメントをいただき大変助かります。今後とも教えてください。
by yablinsky (2010-01-09 12:16) 

Caelum

テヌートは音価を正しく、十分に評価する記号ですが
長さだけではなく、表現上の指示だと思うんですよ。
スタッカートは音価に対して「少なく」、テヌートは「十分に」
表現上はスタッカートなら「鋭く」、テヌートは「柔らかに」と
そういった解釈をしていいんではないかなぁと。
(もちろん、作曲者の意図次第ですが)

これらを表現する上では、離鍵速度が重要であって
スタッカートならば素早く離鍵する事でダンパーを
高速で下ろし、発音のエッジを鋭くします。
対してテヌートは緩やかに離鍵する事でダンパーを
低速で下ろし、発音のエッジを滑らかにします。
※レガートは次音までダンパーを動かさないので
 テヌートとレガートは異なります。

…と、解釈してますがいかがなものでしょうか('`)
by Caelum (2010-01-09 13:16) 

yablinsky

Caelumさん、コメントありがとうございます。実際にピアノを演奏しているDVDを見て、離鍵に関してはとても気になっていました。離鍵するとき少しずつあげるとビーンとダンパーと弦が干渉したりしていますよね。残念ながら、私が使っている電子ピアノでは表現できません。電子ピアノはまだまだ開発すべき点が多いですね。ご意見ほんとうに参考になります。今後ともよろしくお願いします。

by yablinsky (2010-01-09 14:00) 

yablinsky

sungenさん、バロック時代のテヌートを教えていただき、ありがとうございます。バロックにも興味があり、いま、ペッツォールトのメヌエットを作っているのですが、バロック調に仕上げて見たりしています。ただ、あまりうまく行かず、いまは通常の演奏法に戻してしまいました。そのうち、通常版は公開する予定です。テヌートも時代により違うかもしれませんね。私のような素人にはバロックとロマン派のトリルの違いなどもたいへん驚きなのです。今後ともよろしくお願いします。
by yablinsky (2010-01-09 16:20) 

yablinsky

追加情報

ショパンコンクール3位 横山幸雄先生の公開講義

http://www.uenogakuen.ac.jp/12etudes/lesson02.html

の右の1から5の2を選び、このレッスンのもっと最後で
「テヌートぎみ・・・」という説明があり、通常の音符より
長めになっているように思います。これですべてだと
思いませんが、案3を少しだけ補強できるかもしれま
せん。ただ、聞く人により、違うように聞こえるかも・・・
今後とも考えてゆきます。

by yablinsky (2010-01-09 22:03) 

yablinsky

ぴよぴよベクトルさん、ながぐつさんmatchaさんniceありがとうございます。

by yablinsky (2010-01-09 23:37) 

ぱえ

大変興味深い内容でした。
テヌートはあまり考えずに感覚だけで弾いていたと思います。
でも確かにレガートとフェルマータとは音が異なります。
言葉化したことはないのでうまく説明できませんが
私的にはCaelumさんのコメントに近い感じがします。

しかし!メゾスタッカートは知りませんでした!!
弾き分け出来る自信がありません。

楽譜・・・もっとまじめにみる必要があるなぁ、、、と思いました。
とても勉強になりました。
ありがとごうざいました。
by ぱえ (2010-01-12 13:44) 

yablinsky

ぱえさん、コメントありがとうございます。結局、すっきりした訳ではないですが、自分のテヌートを見つけなければならないのかなと感じているところです。
by yablinsky (2010-01-12 21:41) 

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